2009/01/09 03:15
復活したらどうするのですか!?的なネタ。ポーン…と、あまり聞かなくなった音を耳にして彼女はふと顔を上げた。
リビングで今晩の夕食のメニューを雑誌を捲りつつ考えていたところだった。いつもならソファーに寝転んでいるはずの彼女の夫も、家の中を駆け回り時に膝にじゃれ付いてくる娘も、今は同じ部屋にいない。洗濯物を取り込んで畳み終え、一息つくためにここへやってきた時には既に二人はいなかった。出掛けた様子はなかったので家にいるのは分かっていたが――。
娘が生まれてから、出不精だった彼も時々娘にせがまれて休みの日も外へ出掛けることが多くなった。その前も、彼女が懇願すれば不請不請付き合ってくれてはいたが。
(結局、ああいうのに弱いのよね)
その時の彼の表情を思い出して、自然と口元が綻ぶのを感じる。彼女は雑誌をテーブルに置いて、音の発生源の方へ足を向ける。
音は今も断続的に続いている。
思った通り、音は彼と彼女が寝室として使っている部屋から漏れ出ていた。ドアが少し開いている。彼女はそろりそろりと足音を忍ばせてそこから部屋の様子を伺った。覗き見は良くないとは思っているが、なんとなく邪魔してはいけない気がしたのだ。
そこには――やはりこれも思った通り、彼と娘がいた。彼は娘を膝に乗せ、最近では構わなくなってしまっていて埃を被っていたはずのピアノの前に座り、音の調子を確かめているようだった。
一通り鍵盤を叩いた後、膝の上の娘を見下ろして言う。
「……よし、弾いてもいいぞ」
「わぁ……!!」
娘は歓声を上げて、鍵盤に小さな手を叩きつけ始めた。辺りにでたらめでめちゃくちゃな旋律(というか音)が響きわたる。娘は白と黒の鍵盤を叩くだけで音が出るということが面白いのか、そんなの一切構わずに夢中になって思うがままに鍵盤を叩いていく。彼もそんな娘を咎めようとはせず、好きなようにさせていた。
やがて満足したのか、娘が鍵盤から手を離した。宙に浮いた足をぶらぶらさせながら、ご機嫌な様子で彼を見上げて聞いてくる。
「ねぇ、とうさんはなにかおうた弾けるの?」
「あ? ……まぁ、ちょっとだけなら……」
「ほんとぉ!? ねぇねぇなにか弾いてみてねぇねぇ!」
「分かった、分かったからっ! だから暴れるな」
膝の上で足をばたばたさせ服をぐいぐい引っ張ってくる娘を制して、彼はやれやれといったように嘆息した。
「そうだなぁ……。お前、どんな歌なら知ってる?」
「えーっとねぇ……」
娘がお遊戯で習ったことのある歌をいくつか挙げていく。その中のひとつに覚えがあるらしく、彼は顎に手を添え虚空を見上げ、しばし黙考してから頷いてみせた。
「それなら弾けるかもな。……よし」
鍵盤に手を置き、彼がその歌を弾き始めた。それに合わせて、娘が頭を揺らしながらどこか調子外れだが元気な声で歌い始める。
部屋の外でその様子を見守っていた彼女の口から、くすっと笑みが零れた。そっと寝室に背を向け、キッチンへ向かう。いつの間にか、彼と娘が奏でる歌を彼女も口ずさんでいた。
なんとも平和な、ある休日の昼下がりの出来事であった。
魔王が娘にピアノ弾くぅぅぅぅぅ、な話。楽器やったことないのでそこら辺の描写でたらめです。すみません…。寝室にピアノがあるのはとある素敵サイト様の影響です。…無断でネタに使用してしまってすみません。
最近まで『のだめカンタービレ』のドラマの再放送してたので、つい…やっちまったな!ドラマ版もアニメ版も好きです、のだめ。アニメの1期OP・EDはいい…。この話書いてる間ずっと『Allegro Cantabile』聴いてました。
例のごとくラッツは幼稚園児ぐらいを意識。前から思っていたのですが、2人娘が生まれることになるあの人ですが、妹生まれたのっていつなんだろーか…?つーか何歳差?
そういえば…、こないだ親戚ン家で従兄弟の娘さんが2歳なのに私が保育園でやったお遊戯の歌を歌っていたのに軽い衝撃を受けたお正月…。小さいお子さんは見てて和みますね、構うのは苦手ですが…。ちなみに従兄弟は今年の4月にもう1人娘さんが生まれるそうで。…あれ?
友人に保育士やってる子もいるんですが、園の子にラブレターもらうとか言ってたな。しかも女の子から。(その友人は女です。)普段接することがない年の子達の話を聞くと面白いです。



